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2020年7月編集部だより

トピックス
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感染拡大による働き方と意識の変化~日本生産性本部の調査結果

新型コロナウイルス感染症は、組織で働く人の意識にどんな変化をもたらしているのか。日本生産性本部が、政府による緊急事態宣言の発出から約1か月後の5月11日~13日に20歳以上の日本の雇用者(就業者から自営業者、家族従業者等を除く)1,100名を対象にインターネットを通じて行った第1回の調査結果を公表しました。

労働時間・業務時間の変化、業種別・労働時間の変化

労働時間・業務量・余暇時間とも「特に増減は無い」が4割以上。労働時間は43.2%、業務量は37.6%が「減少した」と回答した一方、余暇時間は42.8%が「増加した」と回答しました。また、労働時間の増減は業種による差が大きく、特に宿泊業では100%、飲食サービス業では89.2%で「減少した」と答えました。

勤め先の業績、今後の自分自身の雇用・収入への不安、勤め先への信頼感

勤め先の業績(65.3%)、今後の自分自身の雇用(47.7%)、今後の収入(61.8%)と、いずれも「不安」を感じている人が多いという結果です。今後の雇用への不安感は業種による差が大きく、宿泊業(85.7%)、飲食サービス業(75.7%)、医療・福祉(65.0%)、生活関連サービス業(63.0%)で「不安」の割合が多くなっています。

一方、勤め先による健康への配慮は、雇用形態や性別等の属性に関わらず68.7%が肯定的で、信頼の程度は、性別・雇用形態等の属性に関係なく「信頼している」「まずまず信頼している」が約7割、「あまり信頼していない」「信頼していない」が約3割でした。

新型コロナウイルス感染症による働き方の変化

働き方については、「特に変化はない」が40.7%で最多、「多少変わった」が35.0%、「大きく変わった」が24.3%でした。職種別に見ると、「専門的・技術的な仕事」「管理的な仕事」で3割以上が「大きく変わった」一方、「生産工程の仕事」「輸送・機械運転の仕事」「建設・採掘の仕事」「運搬・清掃・包装等の仕事」では6~7割が「特に変化はない」としています。

また、柔軟な働き方の施策については、「特にない」が46.3%で最多。「自宅での勤務」29.0%、「時差出勤」16.3%、「短時間勤務」15.4%で、柔軟な働き方が一般化したとまでは言えない状況です。ただ、直近1週間の出勤日(営業日ベース)については、「1~2日」が37.3%で最多、「0日」32.1%、「3~4日」21.1%、「5日以上」9.5%で、2日以下の出勤が約7割を占めました。

テレワーク実施における課題については、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」48.8%が最多で、以下「Wi-Fiなど、通信環境の整備」45.1%、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」43.9%などが続きました。「特に課題は感じていない」は8.4%にとどまり、多くの人が現状に不都合を感じていることが分かります。

一方で、新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいかについては、「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%と、6割強が肯定的でした。

ある程度予想された結果も多いといえますが、これらの具体的な数字も踏まえ、企業としては、今後予測される新型コロナウイルスの第2波・第3波への備えはもちろん、多様な働き方を取り入れながら生産性を高められるよう、社内インフラの整備や社員教育、制度改革が求められることになりそうです。

【日本生産性本部「新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」結果PDF】

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/5f4748ac202c5f1d5086b0a8c85dec2b.pdf

個人向け新型コロナ対応休業支援金、雇用調整助成金の上限額引上げはどうなる?

雇用環境悪化に対するさらなる支援措置

6月8日、「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律案」が国会に提出されました。

この法案には個人向け新型コロナ対応休業支援金や雇用調整助成金の上限額引上げ等が盛り込まれており、会期末(17日)までの成立を目指しています。

個人向け新型コロナ対応休業支援金とは?

雇用調整助成金が活用できない企業の労働者を対象に、休業実績に応じて賃金の8割を支給(上限月額33万円)するものです。企業に雇用されている人であれば、雇用保険の被保険者でなくても支給されます。

この支援金について、政府が企業の休業手当支払義務を肩代わりするものではないと、厚生労働省の審議会で示されています。また、田村憲久元厚生労働大臣は、支給に際して企業に休業手当を支給していないことがわかる書面を発行させること、また、受給した労働者を雇用する企業に対して休業手当不支給につき指導等を行う可能性があることを、出演した民放番組で発言しています(6月9日放送「報道1930」BS-TBS)。

雇用調整助成金の上限額引上げ

上限額の1万5,000円への引上げについて、厚生労働省の審議会では、すでに支給決定している部分についても、4月1日に遡って差額が支給されると、示されています。

また、これまでの上限額(8,330円)で労使協定が締結済みである場合、締結し直す必要はなく、変更して、休業手当率が引き上げられる人について引き上げたもので申請すれば、引き上げたもので支給決定されると、示されています。

さらに、生産指標について、売上への影響が1年後や特例期間を超えたときなど遅れて出る業種について、直近の売上に影響する取引に関する指標で評価することも可能で、相談により対応可能な部分があり得ると、示されています。

求められているのは「雇用維持」

コロナ問題で深刻な影響が生じていますが、企業が政府の支援措置を活用せずに労働者の解雇等を行い、有効性が争われた場合、無効となる可能性が高いといわれています。

雇用維持が困難な状況で負担を抑える手段は、解雇に限られませんが、労使関係を悪化させてしまうと、その手段を講じるチャンスを失いかねません。

まずはどのような手段を講じ得るのか、専門家に相談したうえで実施しましょう。

新型コロナ感染症による雇用への影響に関する厚労省調査から

非正規労働者 初めての集計

新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について、厚生労働省は全国の都道府県労働局および公共職業安定所(ハローワーク)を通じて事業所に対する任意の聞き取り等により把握した状況を取りまとめました。

5月25日からは、非正規労働者の解雇や雇止めの見込みを集計し始めました。
初めて公表された5月29日分、1週間後の6月5日分の内容を紹介します。

5月29日の集計分

・雇用調整の可能性がある事業所数…全国30,214事業所
・解雇等見込み労働者数…全国16,723人
・解雇等見込み労働者数のうち非正規雇用労働者数…全国2,366人
・【業種別】雇用調整の可能性がある事業所数(上位3業種、単位:件)
1位…製造業(6,298)、2位…飲食業(4,760)、3位…小売業(3,028)
・【業種別】解雇等見込み労働者数(上位3業種、単位:人)
1位…宿泊業(3,702。うち非正規568)、2位…道路旅客運送業(2,287。うち非正規164)
3位…製造業(2,269。うち非正規320)
・【都道府県別】雇用調整の可能性がある事業所数(上位3業種、単位:件)
1位…北海道(2,446)、2位…東京(2,291)、3位…岩手(1,648)
・【都道府県別】解雇等見込み労働者数(上位3業種、単位:人)
1位…東京(2,495)、2位…大阪(1,789)、3位…北海道(1,025)

6月5日の集計分

・雇用調整の可能性がある事業所数:全国で35,482事業所(+5,268事務所)
・解雇等見込み労働者数:全国20,933人(+4,210人)
・解雇等見込み労働者数のうち非正規雇用労働者数:全国4,943人(+2,577人)
・【業種別】雇用調整の可能性がある事業所数(上位3業種、単位:件)
1位…製造業(7,215)、2位…飲食業(5,475)、3位…小売業(3,596)
・【業種別】解雇等見込み労働者数(上位3業種、単位:人)
1位…宿泊業(4,348。うち非正規290)、2位…飲食業(3,484。うち非正規1,075)
3位…製造業(2,813。うち非正規221)
・【都道府県別】雇用調整の可能性がある事業所数(上位3業種、単位:件)
1位…東京(3,611)、2位…北海道(2,929)、3位…千葉(2,301)
・【都道府県別】解雇等見込み労働者数(上位3業種、単位:人)
1位…東京(3,164)、2位…大阪(2,998)、3位…北海道(1,149)

この1週間で、雇用調整予定の事業所は5,268件増え、解雇等の見込み数も4,210人増えています。そのうち非正規労働者は2,577人と、半数以上を占めており、失職しやすくなっている現状がうかがえます。

ひとり親控除、寡婦(夫)控除の見直しは令和2年分の年末調整から

令和2年度税制改正により、未婚のひとり親と、婚姻歴のあるひとり親との間にある税制上の格差が解消され、また、寡婦(夫)控除における男女差が見直されました。ひとり親であれば、未婚・離婚・死別、性別にかかわらず、「ひとり親控除」が適用されます。

この改正は、令和2年分以後の年末調整および確定申告において適用されます。また、月々の源泉徴収においては、令和3年1月1日以後に支払うべき給与等および公的年金等について適用されます。個人住民税については、令和3年度分以後について適用されます。

改正の概要

① 未婚のひとり親に対する税制上の措置

イ 居住者がひとり親(現に婚姻をしていない者または配偶者の生死の明らかでない一定の者のうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。)である場合には、ひとり親控除として、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額または山林所得金額から35万円(住民税は30万円)を控除することとされました。
a その者と生計を一にする一定の子を有すること。
b 合計所得金額が500万円以下であること。
c その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいないこと。

ロ 上記イのひとり親控除は、給与等および公的年金等の源泉徴収の際に適用できることとされました。

② 寡婦(夫)控除の見直し

寡婦の要件について次の見直しを行った上で、寡婦(夫)控除をひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除に改組することとされました(控除額は所得税27万円、住民税26万円)。

イ 扶養親族を有する寡婦についても、上記①イbの要件が追加されました。
ロ 上記①イcの要件が追加されました。

また、寡婦控除の特例(いわゆる「特別の寡婦」に該当する場合の寡婦控除の特別加算)を廃止することとされました。

改正後の「寡婦」

「寡婦」とは、次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいいます。

① 夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの

イ 扶養親族を有すること。
ロ 合計所得金額が500万円以下であること。
ハ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと

② 夫と死別した後婚姻をしていない者または夫の生死の明らかでない一定の者のうち、次に掲げる要件を満たすもの

イ 合計所得金額が500万円以下であること。
ロ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと。

中小企業の働き方改革関連法の認知度・準備状況は? ~日本・東京商工会議所調査

中小企業への適用が次々に始まる働き方改革関連法の施策

働き方改革関連法の施策の中で、今年の4月からは、「時間外労働の上限規制」の中小企業への適用が始まりました。今年は新型コロナウイルスの影響により、様々な法改正情報を目や耳にする機会が減ってしまった印象ですが、働き方改革の大きなテーマの1つである「同一労働同一賃金」も来年の4月から適用が始まりますので、今から準備が必要になります。

「時間外労働の上限規制」は施行前でも認知が不十分

日本・東京商工会議所が実施した「人手不足の状況、働き方改革関連法への対応に関する調査」(調査期間:2020年2月3日~3月6日、回答企業数:全国の中小企業2,838社(回答率:68.8%))によると、「時間外労働の上限規制」の名称・内容について、認知が十分でない企業の割合は16.2%となっています。また、施行時期を「知らない」とした割合は、従業員規模50人以下の企業で19.9%と、約2割にも上っており、施行直前の時期においても、まだ認知度自体が十分ではないという実態がわかる結果となっています。

来年4月から中小企業にも適用される「同一労働同一賃金」

来年4月から中小企業にも適用される「同一労働同一賃金」ですが、本調査によると、まだ25.7%の企業が、認知が十分ではないと回答しています。従業員規模50人以下の企業では、32.9%が施行時期を「知らない」と回答しており、内容だけでなく施行時期の周知も求められるところです。

また、「対象になりそうな非正規社員がいる」との回答は23.4%でしたが、そのうち「対応の目途がついている企業」の割合は46.7%にとどまっています。中小企業への施行まで1年を切る中、 まだ半数の企業は対応ができていないことがわかります。

なるべく早めの検討・取組みを

本調査によれば、「同一労働同一賃金」について講じた対応策や対応予定の方策としては、「非正規社員の給与等の処遇改善」(47.5%)、「賃金・人事制度の構築・見直し」(36.4%)、「正規/非正規の業務内容・配置の見直し」(35.8%)、「非正規社員の正社員化」(27.1%)が挙がっています。どのような対応をとるにせよ、ある程度の準備期間が必要になりますので、未対応の企業は、早めの検討・取組みが必要になります。

【日本・東京商工会議所「人手不足の状況、働き方改革関連法への対応に関する調査」】

https://www.jcci.or.jp/download/2020_hitodebusoku.pdf

厚労省発~「新しい生活様式」における熱中症予防

「新しい生活様式」

新型コロナウイルスの感染拡大を長期間にわたって防ぐため、「新しい生活様式」が厚労省より公表されています。このなかでは、基本的な事項として、身体的距離の確保(できるだけ2m)、マスクの着用、手洗いを挙げ、これに加え、三密(密集、密接、密閉)の回避、換気、こまめな健康チェックが効果的としています。働き方については、テレワークや時差通勤、オンラインの活用をすすめています。第二派への警戒が求められるなかで、これらを定着・持続させることが重要です。

熱中症には、例年以上に注意が必要

この時期気になるのが、熱中症へのリスクです。今年は、上記のような十分な感染症予防を行いながら、熱中症対策をする必要があります。しかし、高温多湿でのマスクは熱中症のリスクを高めます。体調不良で冷房のある屋内に入ろうとしたら、人数制限中ということも考えられます。厚労省は、「新しい生活様式」における熱中症予防行動について、次の通り示しました。

予防のポイント

① マスクの着用:屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合は、外しましょう。着用時には、強い負荷の運動は避け、こまめに水分補給しましょう。人と十分な距離をとれる場所で、一時的にマスクを外して休憩しましょう。

② エアコンの使用:冷房時でも、窓開放や換気扇によって換気をしましょう。換気により室内温度が高くなりがちなので、エアコンの設定温度を下げるなどの調整をしましょう。

③ 涼しい場所への移動:少しでも体調に異変を感じたら、すぐ涼しい場所に移動しましょう。屋内に入れない場合は、屋外でも日陰や風通しのいい場所に移動してください。

④ 日頃の健康管理:定時の体温測定、健康チェックをしましょう。平熱を知れば、発熱に早く気づけます。また、体調が悪いと感じたら、無理せず自宅で静養しましょう。

【厚生労働省「「新しい生活様式」における熱中症予防行動のポイント」】

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テレワークの流れを止めない ―今後企業が重視すること

流れを読めていますか?

職種柄、どうしても実際に職場に出てくることが必要な仕事というものもありますが、テレワークやウェブ環境を通じた働き方は、今後もより一層浸透していくことでしょう。

しかし、今回のコロナ禍を機にテレワークを導入し始めた企業では、緊急事態宣言の解除とともに、何となく(あるいはそそくさと)旧来の働き方に戻ろうとの空気が漂い始めているのではないでしょうか。

そのような新しい流れに対応できない企業は、人材採用の面でも「テレワークすらとり組めていない企業なんて……」と、就職先の候補から外されてしまうことも起こるはずです。

テレワークのメリット?

テレワークに、会社に対する直接的なメリットを求める企業もあるようですが、それは少し認識がずれている可能性があります。

人生100年時代、70歳までの雇用確保等に向けて世の中が動き始めています。年齢・性別にかかわりなく活躍してもらわなければ企業が生き残っていけない時代に、すでに差しかかっています。(独)

労働政策研究・研修機構が行った「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」を見ても、日本企業の雇用管理と長期勤続化の課題として、働きやすい職場の実現に対する配慮を重視されています。

つまり、「ワーク・ライフ・バランスの向上」、「育児・介護や病気治療と仕事の両立」、「社員のストレスの削減」等が重視される時代なのです。

いろいろな社員が活躍できるようにすることが、回りまわって企業のメリットとなるのです。今後の社会において、社員の働きがいを考えられない企業は生き残れるでしょうか?

また、BCP対策や企業イメージの向上につながるテレワークは、会社として重要なメリットであるはずです。

試行錯誤してこそ

現在、多くの企業が試行錯誤しながらテレワークの活用を模索しているところです。労働時間や業績の管理、評価方法、通勤手当の見直し、在宅勤務手当の検討、ツールの使い方といった試行錯誤を経験してこそ、仕事の効率化・スキルの向上や新しい事業の創造につながるのですから、そこに背を向けることは企業の自殺行為に等しいことでしょう。

何事につけ、「どうしたらうまく活用できるか」を自律的に考えられる場や雰囲気を社内に作り出すことが、企業には求められているでしょう。

【労働政策研究・研修機構「人生100年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」PDF】

https://www.jil.go.jp/press/documents/20200529.pdf

逆境も困難も乗り越える!いま注目の「レジリエンス」

逆境や困難を乗り越える力

「レジリエンス」をご存じですか? これは逆境や困難を乗り越える力を表す概念で、メンタルヘルスの分野では「逆境でも折れない、しなやかな心の強さ」といった意味合いで使われます。

その定義は人・団体によりさまざまですが、アメリカ心理学会では、「逆境、心的外傷、悲劇、脅威、あるいは家族や人間関係問題、深刻な健康問題などから派生したストレスに直面したときに、それにうまく適応するプロセス」であるとしています。

ビジネス分野での関心の高まり

経済環境がめまぐるしく変化し、企業間の競争も激化している中、逆境や困難にあっても高いパフォーマンスを発揮することのできる人材が強く求められるようになってきています。また、メンタルヘルス不調による休職等の問題に対応するため、不調を事前に防ぐ一次予防として個人のメンタルタフネスを高める重要性が指摘されているところです。

こうした状況を背景に、近年、レジリエンスへの関心・注目度が高まっており、レジリエンスを習得するための研修を実施する企業も増えてきました。

新型コロナ対応としてのレジリエンスにも注目

レジリエンスが高い人物はさまざまな場面で活躍することが期待できます。具体的には、レジリエンスを高めることで、柔軟な思考や試練に負けないたくましさが身につき、仕事でのトラブルやミス、責任の大きな局面にも適切な対応が可能になるとされています。特に現在は、新型コロナ・在宅勤務のストレス対応としてのレジリエンスに注目が集まっています。

アメリカ心理学会は、レジリエンスについて、「人が持っている・持っていないなどの適性ではなく、困難な経験からの回復を意味する行動や思考、行為が含まれ、誰でもが学習し発達させることができる」ものであるとしています。誰でも後天的に習得することができるものですから、社員の能力開発の一環として取り入れてみてはいかがでしょうか。

年金制度改正法が成立しました!

年金制度改正法(年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が5月29日、第201回通常国会において成立しました。この改正は、人手不足の進行や健康寿命の延伸、高齢者や女性の就業促進といった今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることを目的としています。
主な改正内容を紹介いたします。

被用者保険の適用拡大(2022年10月~)

短時間労働者(週の労働時間が通常の労働者の3/4以上)を厚生年金保険、健康保険の被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件が段階的に引き下げられます(現在は500人超→2022年10月100人超→2024年10月50人超)。

在職中の年金受給の在り方の見直し(2022年4月施行)

① 在職中の老齢厚生年金受給者65歳以上の方については、在職中であっても年金額の改定を毎年定時に行うようになります。現状、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合は、資格喪失時(退職時・70歳到達時)に、受給権取得後の被保険者であった期間を加えて、老齢厚生年金の額を改定していますが、退職を待たずに早期に年金額に反映します。

② 60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円に引き上げます。

受給開始時期の選択肢の拡大(2022年4月施行)

現在、60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大します。

確定拠出年金の加入可能要件の見直し等(2022年4月施行)

① 確定拠出年金(DC)の加入可能年齢の引上げ

・企業型DC:現行65歳未満→厚生年金被保険者(70歳未満)に改正
・個人型DC(iDeCo):現行、国民年金被保険者の資格を有し、かつ60歳未満→国民年金被保険者に改正

② 確定拠出年金(DC)の受給開始時期の選択肢の拡大

現行は60歳から70歳の間で各個人において受給開始時期を選択できますが、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に合わせて、上限年齢を75歳に引き上げます。

その他の改正

国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え(2022年4月)、未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加(2021年4月)、短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ(2021年4月)などが予定されています。

令和元年度の下請法違反件数と新型コロナウイルスによる影響

下請法違反件数が過去最多を更新

公正取引委員会が報告した「令和元年度における下請法の運用状況及び企業間取引の公正化への取組」によると、令和元年度の下請法違反件数は8,023件(前年比306件増)で、昭和31年の下請法施行以降、過去最多となりました。その内訳は7件が勧告で、8,016件が指導となっています。

違反件数を業種別でみると、製造業が3,496件(43.6%)で最も多く、次に卸売業・小売業が1,679件(20.9%)、情報通信業が889件(11.1%)、運輸業・郵便業が797件(9.9%)と続いています。

違反件数を下請法違反行為の類型別にみると、全体で13,528件のうち、発注書面の交付義務等を定めた手続き規定に係る違反が6,919件(前年比133件減)、親事業者の禁止行為を定めた実体規定に係る違反が6,919件(前年比100件増)となっています。

また、実体規定違反件数の内訳は、支払遅延が3,651件(52.8%)で最も多く、次に下請け代金の減額が1,150件(16.6%)、買いたたきが721件(10.4件)となっており、これらが全体の約8割を占めています。

働き方改革がしわ寄せに

公正取引委員会は、昨年4月から施行された働き方改革関連法に伴う違反について、実例を挙げて報告しています。具体的には、親事業者は残業時間の上限規制が設けられことにより長時間労働の削減等の取組みが行われ、そのしわ寄せで下請け事業者に対し、代金の減額や買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更を行ったとしています。

新型コロナの影響を懸念

同委員会には2月以降、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、下請け事業者に対する納期の変更や発注の取消し等に関する相談が増えています。このため、中小企業庁との連名で下請法等に係るQ&Aを公表するとともに、個別相談等に迅速に対応していくとしています。

また、経済産業省も、同感染症の影響を受けやすい下請け等中小企業との取引きにおいて、納期遅れの対応や適切なコスト負担、迅速・柔軟な支払いなどに一層の配慮を講じるよう関係団体(1,142団体)を通じ、親事業者に要請を出しています。

【公正取引委員会「新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A」】

新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A | 公正取引委員会

【経済産業省「新型コロナウイルス感染症により影響を受けている下請事業者との取引について、一層の配慮を親事業者に要請します」PDF】

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310003/20200310003-1.pdf

7月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

10日
○ 健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>
○ 労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

15日
○ 所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]
○ 障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

31日
○ 所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]
○ 労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
○ 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
○ 固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]
※都・市町村によっては異なる月の場合がある。