2021年8月編集部だより

トピックス
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年休取得義務化で取得は進んでいるか~労働政策研究・研修機構調査から

独立法人労働政策研究・研修機構が、働き方改革関連法の施行に伴い、年次有給休暇(年休)取得に関する企業・労働者アンケートを行い、その結果を公表しました(調査期間:2020年1月27日~2月7日。企業17,000社、労働者71,796人を対象に実施し、回答は企業5,738票、労働者15,297票)。

計画的付与制度の導入企業は42.8%、取得目標を設定している企業は6割以上

企業調査の年休の計画的付与制度の導入状況では、「導入されている」とする企業割合は42.8%でした。年休取得率や年休取得日数などの目標設定については、「年休取得日数の目標のみを設定している」が53.6%と半数以上を占め、「年休取得率の目標のみを設定している」が4.3%、「年休取得率及び取得日数双方について目標を設定している」が4.1%、「上記以外の目標を設定している」が0.9%となっている一方で、「何らの目標も設定していない」とする企業は34.9%ありました。

3年前と比べ取得日数が増えた企業とする労働者は41.5%

労働者調査での年休取得日数の3年前との増減比較では、「変化しなかった」が46.4%でしたが、「増加」(「5日以上増えた」「3~4日増えた」「1~2日増えた」の合計)も41.5%となりました。一方で、「減少」(「5日以上減った」「3~4日減った」「1~2日減った」の合計)は4.4%でした。

「増加」と回答した者の増加した理由(複数回答)は、「会社の取組みにより取りやすい就業環境になったから」が37.6%ともっとも高く、次いで、「個人的理由により、有給休暇が必要になったから」(31.3%)、「上司に有給休暇を取得するよう勧められたから」(21.0%)、「法律等の影響もあり年休を取りやすい環境ができた」(20.7%)などとなっています。

年5日の取得義務の認知度は、企業で95.5%、労働者では84.4%

年休の年5日の取得義務化についての理解度は、企業調査では、「内容を十分に理解している」が64.4%で、「ある程度理解している」(31.1%)と合わせて95.5%を占めました。また、労働者調査でも、年5日の取得義務化について、「内容を含め知っている」が54.9%で、「聞いたことがある」(29.5%)と合わせると84.4%に上りました。

時間単位年休の導入企業は22%、導入を求める労働者は5割以上

企業調査での時間単位年休取得制度の導入状況では、「導入している」が22.0%でした。導入理由(複数回答)では、「日単位・半日単位に満たない時間の取得が可能で便利」(70.0%)がもっとも高く、次いで、「個人的な事情に対応した休暇取得が可能になる」(57.3%)、「年休の取得促進のため」(56.5%)、「育児、介護の支援」(49.0%)、「仕事と治療の両立支援」(42.1%)などとなっています。

一方、時間単位年休取得制度を導入していない理由(複数回答)は、「勤怠管理が煩雑になる」が50.3%ともっとも高く、次いで、「すでに半日単位の年休取得制度がある」(46.8%)、「給与計算が複雑になる」(39.3%)、「変形労働時間制等のため時間単位の代替要員確保困難」(31.4%)、「導入可能と不可能部署があり平等性から導入しづらい」(29.4%)などとなっています。一方、労働者調査で時間単位年休取得制度が適用・導入されていない者(「わからない」を含む)に聞くと、勤務先での時間単位年休取得制度を「導入・適用してほしい」とする割合は50.6%となっています。

年休の取得促進については、5日間の取得義務化という法律の後押しがあって3年前と比べると全般的に進んでいるという結果が出ましたが、やはり会社が取得しやすい環境づくりを進めることが重要のようです。とりわけ、時間単位の取得制度については会社側の事情から導入されていないケースが多い一方で、導入されていない企業の勤労者の半数以上が導入を望んでおり、有休の取得率アップや従業員の満足度向上のためにあらためて検討してみることも必要かもしれません。

【労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関するアンケート調査」】
https://www.jil.go.jp/institute/research/2021/211.html?mm=1698

 

新型コロナウイルスワクチン接種証明書の申請受付 7月26日より

当面は海外渡航限定

欧州の主要国を中心に、新型コロナウイルスワクチンの接種証明書の提示により、いわゆる水際対策を緩和する動きがあることを受け、日本でも7月26日から市区町村において接種証明書発行の申請受付が開始されることとなりました。

7月12日の内閣官房長官記者会見によれば、接種証明書の提示により防疫措置の緩和等が認められる国や地域に渡航する場合に限って申請してほしいとされています。

接種証明書の内容

6月25日に内閣官房が開催した自治体向け説明会資料によれば、接種証明書には、新型コロナウイルスワクチンの接種記録(ワクチンの種類、接種年月日など)と接種者に関する事項(氏名、生年月日、旅券番号など)が記載されます。

接種を受けると接種済証が交付されますが、こちらには英語の表記がなかったり偽造防止対策といった課題があったりするということです。

接種証明書の交付を受けるには?

申請手続のデジタル化も検討されていますが、当面は書類申請のみとされ、窓口か郵送での受付となります。
申請時には①申請書、②パスポート、③接種券、④接種済証か接種記録書、またはその双方が必ず必要となります。

そのほか、パスポートに旧姓・別姓・別名(英字)の記載がある場合は旧姓・別姓・別名が確認できる本人確認書類、代理人による申請の場合は委任状、郵送する場合は切手を貼って返送先住所を記載した返信用封筒も必要となります。

国によって異なる水際対策

JETROが7月7日に公表している海外各国の水際対策は様々です。EU加盟各国では、接種証明書の提示により陰性証明書の提示や自主隔離等の義務が免除されますが、東南アジア地域では、シンガポールを除いて接種率が相対的に低く、ワクチン証明書に基づく入国制限や入国後の防疫措置の緩和は行われていないということです。

今後、ワクチン接種が進むとビジネスシーンで海外へ赴くケースも増えてくることが考えられますが、渡航前には渡航先がどのような対策をとっているかの確認も求められることとなりそうです。

 

令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況~厚労省公表

厚生労働省が毎年公表

厚生労働省が毎年まとめている「個別労働紛争解決制度の施行状況」の令和2年度の内容が明らかになりました。「個別労働紛争解決制度」は、①都道府県労働局や各労働基準監督署内等で専門の相談員が対応する「総合労働相談」、②都道府県労働局長による「助言・指導」、③紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。このほど公表されたそれぞれの件数、事件内容等をご紹介します。

総合労働相談件数は過去最多

① 総合労働相談
・相談件数
総合労働相談は、約130万件で過去最多。民事上の個別労働紛争相談は、令和元年度の279,210件に次いで、令和2年度は278,778件と、過去2番目に多かった。
・相談内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」22.8%が最も多く、「自己都合退職」11.4%、「解雇」10.9%、「労働条件の引き下げ」9.3%となっている。

② 都道府県労働局長による助言・指導
・申出件数
令和2年度は9,130件で、過去3年間で最も少ない。
・申出内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」が最も多く18.4%、「解雇」9.7%、「労働条件の引き下げ」9.0%、「自己都合退職」7.4%と続く。

③ 紛争調整委員会によるあっせん
・申請件数
令和2年度は4,255件で、調査を始めた平成23年度から最も少ない。
・申請内容別の件数
「いじめ・嫌がらせ」が最も多く28.0%、「解雇」21.8%、「雇い止め」9.5%、「労働条件の引き下げ」6.9%、「退職勧奨」6.6%となっている。

「ハラスメント対策の重要性」が顕著に

相談・申請等の内容として、平成23年頃は「解雇」が最多だったのに対し、この10年ほどで、「いじめ・嫌がらせ」が圧倒的に多くなる傾向に変わっています。令和2年度(令和2年4月~令和3年3月)はコロナ禍真っ只中だったにもかかわらず、「解雇や雇い止め」に関する件数はそれほど目立っていません。つまり、今後は何が何でも「ハラスメント対策」を強化する必要があるということなのかもしれません。

【厚生労働省「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」プレスリリースPDF】https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000797476.pdf

 

男女共同参画局「職場のジェンダーギャップチェックシート」が公表されました

「職場のジェンダーギャップチェックシート」とは

内閣府の男女共同参画推進連携会議は、経済分野における女性の活躍促進女性のエンパワーメントの促進に向けて、連携会議に参加している団体に、傘下の企業・組織における男女共同参画の現状についてアンケート調査を行いました。

そして、アンケートの項目を参考に、職場でできる「職場のジェンダーギャップチェックシート(試作版)」を作成しました。このチェックシートは、経営者向けと従業員向けの2つがあり、それぞれ17の質問で構成されています。

経営者向けシート17のQ

経営者向けのチェックシートは次のとおりです。それぞれ「そう思う」または「そう思わない」で答えてください。
Q1 企業の団体の代表は男性が担っている
Q2 意思決定機関(役員会・理事会等)の構成員は男性が担っている
Q3 営業・外回り・渉外関連部署等は主に男性が担っている
Q4 経理・総務・人事など組織内の間接部門は主に女性が担っている
Q5 コピー・お茶出しなどの雑務は主に女性が担っている
Q6 長時間労働者、夜遅くの対応・業務は主に男性が担っている
Q7 正規社員は主に男性、非正規社員は主に女性が担っている
Q8 力仕事は主に男性が担っている
Q9 ケア・サポート仕事は主に女性が担っている
Q10 研修や能力開発の機会は、主に男性に与えられている
Q11 育休など子育て両立制度の活用、子育てに関する配慮を受けているのは主に女性である
Q12 夜の会合が頻繁にある
Q13 夜の懇親会が頻繁にある
Q14 在宅勤務・テレワーク・オンライン会議が定着していない
Q15 上層部のほうが、男女共同参画意識は低い
Q16 年齢が高い人のほうが、男女共同参画意識は低い
Q17 (地方に本社・支店がある場合は、都心部よりも)地方部のほうが、男女共同参画意識は低い

「そう思う」と答えた項目により、どこに問題があるかを判定するつくりになっています。一度ご活用されてはいかがでしょうか。

【男女共同参画局「各業界の男女共同参画についてのアンケート調査結果と職場のセルフチェックシート(試作版)」】
https://www.gender.go.jp/kaigi/renkei/team/WEPs/questionnaire.html

 

企業の教育訓練の実施状況は? ~厚生労働省 令和2年度「能力開発基本調査」の結果等より

教育訓練費用を支出した企業は49.7%

厚生労働省がまとめた令和2年度「能力開発基本調査」(令和2年12月1日時点の状況についての調査)の結果によれば、企業の教育訓練への費用の支出状況をみると、OFF-JTまたは自己啓発支援に支出した企業は49.7%で、令和元年度調査(以下 「前回」という)の57.5%と比べて減少しています。計画的なOJTについて、正社員に対して実施した事業所は56.5%(前回64.3%)、正社員以外に対して実施した事業所は22.3%(前回26.5%)となっており、こちらも前回同様減少しています。

コロナ下において、企業の様々な活動に影響が出ているところですが、社員の教育訓練に関する分野にも影響を与えていることが予想できます。

能力開発や人材育成に関して問題があるとする企業が7割以上

能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は74.9%で、前回と比べてやや減少しているものの、多くの企業では、人材育成に関する問題があると考えていることがうかがえます。問題点の内訳は、「指導する人材が不足している」(54.9%)が最も高く、「人材育成を行う時間がない」(49.4%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(42.6%)と続いています。

コロナ下でオンライン研修などの取組みも進んでいる

株式会社パーソル総合研究所が実施した、企業におけるオンライン集合研修の実態に関する調査によれば、オンライン集合研修を増やした企業の割合は75%にも上ったそうです。対面での実施が難しい中、これまでと異なる手法で教育訓練を実施した企業も多かったのではないでしょうか。

今後求められる企業の能力開発への取組み

日本では、GDPに占める企業の能力開発費の割合が、他の先進国と比べても低いといわれており、米企業と比べると20分の1ほどしかないそうです(2018年「労働経済白書」)。このような実態を国も問題視しており、2021年6月に政府が提示した骨太の方針でも、「リカレント教育等人材育成の抜本強化」が掲げられています。今後、国を挙げた取組みが進むとともに、労働者側でもキャリア形成に関する意識が高まってくることが予想されます。

このような動きは、企業としても人材確保の観点から無視できないところです。今後は、自社の生き残りのためにも、新入社員のみならず、中堅社員等までも対象にした能力開発に係る新たな取組みを模索していく必要があるでしょう。

【厚生労働省「令和2年度「能力開発基本調査」の結果】ニュースリリース
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/newpage_19368.html
【パーソル総合研究所「オンライン研修の実態に関する調査結果」】ニュースリリース
https://rc.persol-group.co.jp/news/202107051000.html

 

働く女性を支援する不妊予防支援パッケージ

働く女性が抱える健康課題

内閣府が行った調査では、20代の6割、30代の5割が月経痛を抱えているとされています。月経痛で受診した女性のうち、子宮内膜症や子宮筋腫等を原因とする器質性月経困難症(月経痛・体調不良等)の割合は、20代で3割、30代で5割、40代で7割にのぼります。しかし、働く女性の半数弱は、月経異常を感じても婦人科等を受診しません。その理由として最も多いのは、「自分の症状は重大な病気ではないと思った」というものですが、それに次いで多いのが、「病院が空いている時間に行くことが難しかったから」というものです。

本来は治療が必要であるにもかかわらず、忙しさから症状に目をつぶり、不調のサインをやり過ごしてしまう女性労働者も少なからずいることでしょう。本人の人生への悪影響はもちろん、企業としても、仕事のパフォーマンスや働き手確保の点で対処が必要な課題です。

不妊予防支援パッケージとは?

このような状況を踏まえ、厚生労働省は、生涯にわたる女性の健康を包括的に支援することを通じ、不妊予防に向けた取組みを推進するため、「不妊予防支援パッケージ」をとりまとめました。これは、不妊の予防の支援を必要とする女性に対し、ライフステージや生活環境に寄り添った支援を行い、気づかれにくい不妊リスクをなくしていくという試みです。本パッケージでは、働く女性への具体的な支援として、次の項目を挙げています。

●月経困難症に悩む女性労働者への配慮等について事業主団体に対する要請
●職場における相談体制の拡充(産業医等に対する研修の拡充/中小企業で働く女性の相談ニーズへの対応/産業保健総合支援センターと女性健康支援センター等との連携強化による効果的な相談体制の整備)
●様々な機会を活用した女性の健康課題に関する情報発信の強化(職場の定期健診でのリーフレット配布/事業主・労働者向けセミナーの開催/企業における取組事例の収集・提供 等/健康経営の啓発強化)

健康問題に悩む働く女性を支援し、安定した職場づくりをするひとつの機会にされてはいかがでしょうか。

【厚生労働省「不妊予防支援パッケージについて」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19753.html

 

職場のルールの伝え方 「それは前に言っただろ!」と腹を立てる前に

原因は伝え方にある?

最近では、パワハラという文字が頭をよぎり、「それは前に言っただろ!」と頭ごなしに怒るという場面は少なくなっているかもしれません。職場のルールが徹底しないのは従業員が怠慢なのでしょうか? その原因は、ルールの伝え方にあるかもしれません。

そもそも注意したい点

まず、そもそも次のようなことをした上でルールを伝えているか、振り返ってみる必要があります。

・矛盾するルールがないかチェックする(アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態では、従業員が勝手に判断して行動してしまいます)
・ルールの目的を説明する(目的がわからなければ従おうという気にはなりません)
・ルール順守者を表彰する(みんなの前でほめることで、他の従業員がルールに気づき、ルールを守るといいことがある、と考えるようになります)
・繰り返して伝える(人は忘れる動物です。ルールを決めた本人が忘れているということもままあります)

伝え方の工夫

そして、伝え方も、次のような点を意識する必要があります。

・画像などを使って方法をわかりやすくする
・データを使って基準を明確にする
・わかりやすい言葉、読みやすい文章にする
・すべての従業員に確実に伝える

また、出社している従業員にもテレワーク中の社員にも確実に伝えようと、ビジネスチャットツール(Teamsなど)を使用する場合もあるでしょう。そこでの書き方でも一工夫必要です。単に文章として書いておけばよいのではなく、後から検索しやすいように、件名を付ける、キーワードとなる言葉(検索しやすい言葉)を盛り込む、読みやすい文字数に抑え、基となる資料がある場所のアドレスを貼る等をすると、使いやすいでしょう。

なお、チャットツール上に書かれているだけでは不足です。口頭での説明、繰り返し伝えること等と併せて行うことで効果が高まります。

職場のルールや規程は作っただけでは意味がありません。従業員がきちんと認識し、それに従って行動しようと思えるような伝え方が重要です。

 

コロナ禍で急増のおそれも… 「アルコール依存症」への職場対応

コロナ禍で懸念される「アルコール依存症の増加」

新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、働き方や生活時間の変化によってさまざまなストレスが生じていること、また在宅勤務によりお酒を長く多量に飲みやすい環境ができたことなどにより、現在、アルコール依存症患者の増加が懸念されています。

アルコールの問題は個人の問題と捉えられがちですが、仕事に関するストレスが原因となって大量の飲酒につながることが多いことが指摘されており、アルコール依存症とストレスや過重労働には深い関係があるといわれていますので、企業としても、「職場の心の健康問題」として対策を講じていく必要があります。

アルコール依存症が引き起こす職場のトラブル

WHO(世界保健機構)によれば、アルコール関連問題は、大きく、健康問題・家族問題・職業問題・経済問題・刑事問題に分類され、個人の健康問題(肝臓・膵臓・心臓・脳・欠陥・神経など全身のさまざまな病気を引き起こし、ときに死に至らしめることもあります)のみにとどまらず、多くの社会的影響を及ぼします。

職場では、業務効率の低下が見られることになるでしょう。また、注意力が低下することで、事故の危険性も高まります。遅刻・早退や無断欠勤が繰り返されることによる周囲への悪影響も看過できません。

◆アルコール依存症への職場対応

アルコール依存症の治療には、本人の「何とか治したい」という治療意欲が欠かせません。酒臭い状態で出勤してきた際、また無断欠勤をした際などには、就業規則にのっとり懲戒処分の対象とするなど、厳しい態度で接していくことが重要です。これにより「このままではいけない」との自覚を促し、いち早く治療につなげてあげることが、その人のことを考えた本当にあたたかい対応だといえます。

もちろん、労働者がストレスをため込み過剰な飲酒に走ることのないよう、ストレス対策を講じていくことも欠かせません。産業医などとも連携し、適切なアルコール依存症対策・ストレス対策を取ることが望まれます。

 

健康保険法改正で傷病手当金の通算や育休中の社会保険料免除が変更に

「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が第204回国会で可決・成立し、6月11日に公布されています。以下で、主な改正事項をご紹介します。

傷病手当金の支給期間の通算化(令和4年1月1日から施行)

傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために休業するときで、一定の要件に該当した場合に支給されるもので、支給期間は、支給が開始された日から最長1年6カ月です。これは、1年6カ月分支給されるということではなく、1年6カ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、復帰期間も含めて1年6カ月に算入されます。支給開始後1年6カ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

今回の改正は、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるように、支給期間の通算化を行うというものです(支給を始めた日から通算して1年6カ月支給)。がん治療などで入退院を繰り返すなど、長期間にわたり療養のための休暇をとりながら働くケースなどがあることから、改正になりました。

任意継続被保険者制度の見直し(令和4年1月1日から施行)

任意継続被保険者制度は、健康保険の被保険者が、退職した後も選択によって引き続き最大2年間、退職前に加入していた健康保険の被保険者になることができる制度です。

保険料は全額被保険者負担(事業主負担なし)で、従前の標準報酬月額または、当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額に保険料率を乗じた額を負担します。任意継続被保険者となった日から2年を経過したときや、保険料を納付期日までに納付しなかったとき、就職して健康保険などの被保険者資格を取得したとき、後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき、被保険者が死亡したときのいずれかに該当するときは、被保険者の資格を喪失します。

今回の改正は、任意継続被保険者の保険料の算定基礎の見直しや(健康保険組合が規約に定めた場合は、当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額より従前の標準報酬月額が高い任意継続被保険者については、従前の標準報酬月額を保険料の算定基礎とすることができるようになる)、被保険者からの申請による資格喪失を可能とするというものです。

育児休業中の保険料の免除要件の見直し(令和4年10月1日から施行)

育児休業中の社会保険の保険料免除は、現在、月の末日時点で育児休業をしている場合に、当該月の保険料(賞与保険料含む)が免除される仕組みです。そのため例えば、月中に2週間の育休を取得したとしても、休業期間に月の末日を含まなければ免除の対象にはなりません。

今回の改正は、短期の育児休業の取得に対応して、育児休業期間に月末を含まない場合でも、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1カ月を超える育児休業を取得している場合に限り免除の対象とするというものです。

 

「テレワーク・デイズ2021」が実施されます

「テレワーク・デイズ」とは?

政府は、7月19日(月)から9月5日(日)までの期間を「テレワーク・デイズ2021」と定め、柔軟な働き方を実現するテレワークの全国的な推進と、東京オリンピック・パラリンピック期間中の人と人との接触機会の抑制や交通混雑緩和、および新型コロナウイルス感染拡大の防止に寄与するよう実施することを決定しました。

「テレワーク・デイズ」は、2017年に2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が東京都および関係団体と連携し、テレワークの一斉実施を企業や団体に呼びかけたものです。

2019年には、東京オリンピック・パラリンピックと同時期に実施したところ、2,887団体、約68万人が参加しました。昨年は新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の維持の両立を図るため、期間を限定せず、テレワーク推進に向けた継続的な普及啓発策を実施しました。

「テレワーク・デイズ2021」に参加すると?

「テレワーク・デイズ2021」の実施内容は、新型コロナウイルス対応におけるテレワークの取組みの目標(出勤者の7割減)や実績も踏まえ、各社において実施期間における積極的な目標を設定し、実行することを要請しています。また、参加団体を実施団体、特別協力団体、応援団体に分け、3,000団体の参加を目標としています。

「テレワーク・デイズ2021」への参加条件は、実施期間中、参加人数、実施日数等を問わず、テレワークを実施する企業・団体となります。公式サイト(https://teleworkdays.go.jp/)で参加登録ができます。

登録すると、公式サイト上で企業・団体の紹介ができ、自社のテレワークへの取組みをアピールすることができます。また、応援団体においては、自社の取組情報やワークスペース、テレワークに資するソフトウェアや ICT ツールの提供、ワーケーションの支援などについて掲載できます。

公式サイトには役立つ情報が満載

また、同サイトでは、「テレワーク導入お役立ち情報」として、国や地方公共団体などが提供する支援について紹介しています。テレワークに関するガイドラインや助成金、導入・運用・労務管理等に関するサイトのURLが掲載されています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により東京都に4度目の緊急事態宣言が発出され、7月23日に開幕する東京オリンピック・パラリンピックは、ほとんどの会場での無観客開催が決定しました。いままでテレワークを積極的に行っていなかった企業も、「テレワーク・デイズ」参加団体の取組みや国などが提供する支援を参考にしながらテレワークを検討、実践してみてはいかがでしょうか。

 

8月の税務と労務の手続[提出先・納付先]

10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]

31日
○ 個人事業税の納付<第1期分>[郵便局または銀行]
○ 個人の道府県民税・市町村民税の納付<第2期分>[郵便局または銀行]
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出
[公共職業安定所]
○ 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>
[公共職業安定所]

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