教育費の目安は年収の15%以内
家計の中から教育費にいくらまでかけるのが適正なのか、お悩みのシンママ世帯も少なくないと思います。
日本政策金融公庫が発表した平成30年度「教育費負担の実態調査結果」によると、10%以上20%未満と回答した世帯が約35%と一番多く、次いで10%未満の順となっています。
またこの資料によると全世帯の平均は15.7%という結果になっていることから、教育費は年収(手取り)の15%以内で賄うというのがひとつの目安になるでしょう。
当然ながらこれは子ども全体にかけられる費用であって、2人っ子であればその半分になりますし、3人兄弟なら1/3ということになります。子ども間で不公平がなく均等に教育費を分けていくことが求められます。
またこの15%には現在通わせている塾や習い事だけでなく、大学進学資金の積み立て分も含めた数字であることも覚えておきましょう。
平均値である15.7%を超える世帯、つまり子どもへの教育を重視しているところでは、教育費以外の支出を抑えたり、預貯金や保険を取り崩したりしながら家計をやり繰りしているケースが多いようです。
大学入学時に必要な費用はいくら?
大学や専門学校の進学まで視野に入れるとしたら、入学時にいくら必要か。
結論は子ども1人当り200万~300万円になります。
地方在住の方で、東京に私立で通わせたいというなら、さらに100万円ほど見ておいたほうがいいです。
その準備の方法は多くのファイナンシャルプランナーが指南していますが、国から支給される「児童手当」をそのまま貯蓄に回すことです。
児童手当なら15歳までに198万円(第1子・2子の場合)貯まります。
さらに年収が低いシングルマザーには「児童扶養手当」や「児童育成手当(東京ほか各自治体で実施)」まで支給対象となりますので、すべて受けられるとなった場合、東京在住者のシングルマザーなら最大で月56,410円(令和2年度価額)の追加支給があります。
これらをすべて貯蓄に回しつつ、お年玉なども貯蓄に入れていけば目標に近い金額になるはずです。
どこに教育資金を預けるか
教育費の積み立て先としては学資保険が王道ですが、他にも低解約返戻金型終身保険が選択肢として挙がります。そのメリットとデメリットを比較してみましょう。
学資保険
メリット
- 満期を迎えると支払った保険料より多くの保険金を受け取ることができる。
- 契約者(親)が死亡、高度障害の場合は保険料の支払いが免除される。
- 医療保障や死亡保障など特約を付けることができる。
- 所得控除が受けられる。
デメリット
- 途中で解約すると元本割れする。
- 固定金利のため、景気が上向いても運用利率は上がらない。
- 加入時の年齢制限がある。
低解約返戻金型終身保険
メリット
- 満期を過ぎると解約返戻率が100%を超える。
- 満期を過ぎても解約をしない限り、終身の死亡保障は有効。
- 子どもが何歳からでも加入でき、払込期間も選べるなど自由度が高い。
- 所得控除が受けられる。
デメリット
- 途中で解約すると大きく元本割れする。
- 学資保険より運用益が少なくなる場合が多い。
結論
最初に申した通り、教育資金の積み立ては学資保険が王道です。ただ、低解約返戻金型終身保険は途中解約した場合の損失が学資保険より大きくなる欠点はあるものの、親の死亡時の保障は学資保険より厚いなど独自の魅力を持っています。
どちらが正解なのかは個々の考え方やライフスタイルによって変わってきますので、信用できる保険会社に相談してみてください。
教育資金の借り入れについて
大学進学資金の積み立て不足分は、子どもが返済義務者の奨学金か、親が返済義務者の公的教育ローンの選択肢が考えられますが、まず一番に検討するのは返済不要の「給付型奨学金」です。
給付型奨学金には日本学生支援機構のほか、国公立大学が実施する入学金や授業料の免除、減免制度があります。
それ以外にも大学独自の給付型奨学金制度だったり、自治体・財団が給付型奨学金制度を設けていたりしていますので、受けられる可能性がある限り挑戦していきましょう。
その次に貸与型奨学金、公的教育ローン、民間教育ローンの順で考えていきます。
貸与型奨学金は成績次第で無利息で借りられます。公的教育ローンの金利は貸与型奨学金には及ばないものの、母子家庭には一定の金利下げが実施されますので、日本政策金融公庫の公式サイトをチェックしてみてください。
奨学金は悪なのか?
一部のマスコミによってあたかも奨学金が悪者のように語られることがありますが、偏向的な報道と言わざるを得ません。
なぜなら日本学生支援機構のデータによると利用者の95%以上は滞りなく返済しています。つまり延滞者は100人中5人未満ということで、そのごく少数派の事例を大きく取り上げているのが事実なのです。
しかもその5人の中には奨学金は返すものだと知らなかったというケースが多いと聞きます。お金で苦労をかけさせたくないという思いから、親が代理で申し込んでしまうからだそうです。
しっかりと奨学金の返還条件や滞納リスクを説明し、利用するかしないかを本人に決めさせる(=覚悟を芽生えさせる)ことが大切です。
大学選びは母子一体となって取り組む
大学への進路選択については親子の対話が欠かせません。
いまや700を超える学部が存在し、多様化の時代を迎えている一方で、自分に合っていなかった、ついていけなくなったなどの理由で年間約8万人が大学を中退しているのも事実です。
将来の就職までを見据え、何を学ぶのかを一緒に考える必要があります。
またランクを落として特待生制度を活用したり、奨学金返済を支援している地方自治体の大学に進学するなど、名より実を取る選択肢を示してあげることも大切です。
子どもにアドバイスする自信がない、子どもの人生を左右することに関与するのは気が引けるという母親もいらっしゃるとは思いますが、対話の時間が長いほど進路選択の満足度が高いというデータもあります。
母子ともに最新の入試制度など進路情報の収集に努め、本人の意向を尊重しながらよく話し合って進路を決めるようにしましょう。